新年、明けましておめでとうございます。
本年も、辻仲病院柏の葉 漢方未病治療センターをよろしくお願いいたします。
さて、前回は「風邪の引き始め」の話をしましたが、年末年始に風邪を引いてしまった方はいらっしゃいませんか?
「熱は下がったけれど、咳だけがいつまでも残っている」
「一度咳き込むと、顔が真っ赤になるまで止まらない」
新年の漢方外来では、このような「こじれた咳」の相談が急増します。
なぜ、冬の咳はこれほどまでに長引くのでしょうか。
それは、冬の空気の「乾燥」が、喉や気管支のバリア機能を奪ってしまうからです。
漢方医学では、肺は「潤いを好み、乾燥を嫌う」臓器だとされています。
風邪のウイルスとの戦いで体力を消耗したところに、乾燥した空気が追い打ちをかけ、肺がカラカラに乾いてしまっている状態。
これが、こじれた咳の正体です。
このような状態の時、漢方薬は非常に良い働きをしてくれます。
代表的な3つのタイプをご紹介しましょう。
1.乾いた咳がコンコン続くタイプ
喉がイガイガして、空咳が止まらない。痰は少ないか、切れにくい。そんな時に一番よく使われるのが「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」です。
この漢方薬は、乾いた肺に潤いを与える化粧水のような働きをします。潤いが戻ることで、過敏になった気道の粘膜を鎮めます。
2.ドロっとした痰が絡むタイプ
咳だけでなく、黄色っぽくて粘り気のある痰が多く出る場合には、「清肺湯(せいはいとう)」がお勧めです。
「肺を清める」という名前の通り、気管支の炎症を鎮め、肺の奥に溜まった汚れた痰をきれいにしてくれます。タバコを吸う方や、排気ガスなどで咳き込みやすい方にも適しています。
3.ストレスや夜間に悪化するタイプ
日中は平気なのに、布団に入ると咳が出る。あるいは、イライラすると咳き込む。 喉の詰まり感や、呼吸が苦しい感じを伴う場合は、「柴朴湯(さいぼくとう)」が適応になります。
気管支喘息の体質改善にも使われる薬で、気の巡りを整えて、アレルギー反応やストレスによる咳を和らげます。
<<台所でできる咳止め養生>>
漢方薬を飲むほどではないけれど、喉の調子を整えたい。
そんな時は、古くから伝わる「おばあちゃんの知恵袋」も馬鹿にはできません。
・蜂蜜大根
角切りにした大根を蜂蜜に漬けて、一晩置くだけでできるシロップです。
漢方(薬膳)では、大根は肺の熱を冷まし、蜂蜜は肺を潤す食材とされています。この二つの相乗効果で、喉の痛みや乾燥を和らげます。
(※1歳未満の乳児には、ボツリヌス症のリスクがあるため蜂蜜を与えないでください)
・金柑(きんかん)
金柑の甘露煮やシロップも、この時期には最適です。
金柑の皮には、気の巡りを良くして、喉の炎症を抑える働きがあります。お湯に溶かして、湯気と一緒に香りを吸い込みながら飲むとより効果的です。
ここで、最後に大切なことをお伝えしたいと思います。
風邪をひくといつも咳が長びいて困っている人は、風邪をひく前から養生を心がける必用があります。
風邪がこじれてしまうのは、体質的にどのような問題があるためなのか、それを漢方的に診断して、自分にあった養生を実践するといいでしょう。
思い当たる方は、ぜひ漢方専門医にご相談ください。
漢方未病治療センター長 喜多敏明
