医療コラム(漢方内科):雨の前の頭痛には漢方

私が診ている患者さんに中には、「天気が悪いと身体の調子も悪くなるので、梅雨は苦手です」という人が多いです。
あなたも、そうかもしれませんし、あなたの周りに、困っている人がいるかもしれませんね。
たとえば、雨の前日になると頭痛がすると訴える患者さんがいます。
その原因は、気圧の低下にあります。
雨の前日には気圧が低下することが多く、その結果として、身体の中の水のめぐりが悪くなって、頭痛が発生するのです。
したがって、もともと身体の中の水のめぐりが悪い人は、余計に体調が悪くなってしまいます。
漢方では、身体の中の水のめぐりが悪い状態を「水滞(すいたい)」と言います。
水滞の患者さんは、身体の中に汚い水が滞っていて、その汚れた水が、頭痛を引き起こすのです。
したがって、水のめぐりを良くする漢方薬を服用することで、頭痛が改善します。
その代表が、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬です。
雨の前日に頭痛がするという人には、天気予報を見て、予防的に五苓散を服用してもらっています。
そうすると、頭痛が起こらないで済みますし、たとえ起こったとしても、その程度は軽く済みます。
また、五苓散を継続して服用していると、水のめぐりが良くなって、頭痛が起こりにくくなります。
水滞という体質を改善することができるのです。
しかし、すべての患者さんが五苓散で良くなるわけではありません。
冷えがあったり、胃腸が弱かったりする患者さんには、別の漢方薬を処方します。
自分にあった漢方薬を知りたい方は、ぜひ漢方専門医にご相談ください。

漢方未病治療センター長 喜多敏明