早期がんの内視鏡治療

お腹を切らずに治す早期がんの内視鏡治療

内視鏡は、検査だけでなく治療にも用いられます。ポリープや早期胃がん、早期大腸がんは、体の負担が大きい外科的治療(手術)によらず、内視鏡による治療が可能です。

ポリープ切除術(ポリペクトミー)

ポリープとは、胃や食道、大腸等の粘膜から飛び出したイボのような突起物であり、悪性腫瘍(がん)とそれ以外のものがあります。

特に大腸ポリープは大きくなると大腸がんになる可能性が高まるため、ポリープの段階で切除することが大腸がんの予防になります。

ポリープ切除術(ポリペクトミー)は、内視鏡の先端から「スネア」という器具を使用して行います。

当院で大腸内視鏡検査を受けられた多くの方にポリープが見つかり、約4人に1人がポリープを切除されています。ポリープの大きさや数によって、入院あるいは日帰りで切除します。

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMRは、ポリープ切除術では切除できない平坦な形の早期がん等に対して、粘膜下層に薬剤を注入することで病変部を盛り上げてからスネアで切除する方法です。

病変の大きさがスネアの大きさ程度(約2cm)であれば1回で切除することが可能です。こちらは、入院が必要な治療です。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

ESDは、スネアではなく、特殊なナイフを使って早期がん等を切除する方法で、5cm程度までの大きな病変でもひと固まりで切除できます。粘膜下層に薬剤を注入して病変部を浮かせてから切除します。こちらも、入院が必要となります。

ESDの手技

(1)マーキング
過形成ポリープ

内視鏡を入れ、病変の周辺に目印をつける。

(2)局注
良性(腫瘍性)ポリープ

粘膜下層に薬剤を注入して病変部を浮かせる。

(3)切開
大腸憩室

ナイフで目印を囲むように病変部の周囲の粘膜を切る。

(4)粘膜下層の剥離
早期大腸がん

病変を少しずつ慎重にはぎとる。
 

(5)切除完了
早期大腸がん

最後まで切除する。

(6)止血
早期大腸がん

切除後に表面を止血する。切除部分は回収し病理検査する。